シリーズ化された夢②
どこかへ向かおうとしている夢を見た。
バスに乗っていた。
降りようとしたとき、支払いの仕組みが現実とかけ離れすぎていて、
どうすればいいのか分からない。
運転士に謝りながら、どこから乗ったのか、
どう支払えばいいのかを必死に確認する。
そのあいだにも時間だけが過ぎていく。
ふと後ろを見ると、私のせいで降りられない人たちの列ができていた。
申し訳なさと焦りで、胸の奥がざわつく。
どこかへ向かおうとしているのに、
うまく進めないまま、場面が切り替わる。
途中でトイレに入る。
けれどそこは、個室ではなく、
大部屋に洋式便器がいくつも並んでいる奇妙な空間だった。
建物の半分は外に開かれていて、
まるでカフェのテラスのように視界が抜けている。
見えないように膝掛けをかけて座る。
落ち着かないままやり過ごそうとしていると、
サラリーマン風の男性が二人、
談笑しながら入ってきて、私の前の列に腰を下ろす。
どうやって拭けばいいのか分からない。
その行為すら、ここでは許されていない気がして、ただ困り果てる。
とりあえず水を流し、音でごまかす。
そして思う。
「ああ、またこれか」と。
このタイプのトイレは、何度も夢に出てきている。
ー場面が変わる。
私はマンションの一室にいる。
モデルの仕事を受けているらしく、
年配の男性と、30〜40代のカメラマンと三人きり。
白く、四角く、光もどこか均質な部屋。
時間は午後3時くらい。
「服を脱いで」と言われる。
ヌード撮影なのだと理解するが、強い戸惑いがある。
仕事だから、従うべきなのか。
そう思いながら、
上着を取られそうになった瞬間、また場面が切り替わる。
気づけば外を歩いている。
さっきの二人に加えて、見知らぬ外国人たちも一緒だ。
空も道も、すべてが白っぽい。
広くて、静かで、
少し現実から浮いたような風景。
遠くに、突然カラフルな建物が現れる。
白を基調に、パステルカラーの石造り。
ギリシャやモロッコの街並みのような、
どこか異国的で可愛らしい景色。
私は必死に写真を撮ろうとする。
けれど、うまくいかない。
ピントが合わない。ブレる。残せない。
しばらく歩くと、その建物はすぐ目の前に現れる。
外国人のひとりに案内されて中に入ると、
外観とは対照的に、内部は狭く、コンパクトで、
けれど丁寧に整えられている。
小さいけれど、きれいで、どこか安心感がある空間。
そこにエレベーターがある。
上に行く必要があるらしい。
撮影のためか、荷物のためか、
とにかく「上がること」が求められている。
けれどそのエレベーターはあまりにも小さい。
乗り口も狭く、身体が入らない。
ー入れない。
行かなければいけないのに、行けない。
そしてここでも思う。
「ああ、これも前に見たことがある」と。
このエレベーターも、何度も夢に出てきている。
ーこの夢はやけにリアルで、妙に疲れた。
思い返してみると、ずっと共通していたのは
「うまく進めないまま、誰かを待たせてしまっている感覚」だった気がする。
正しいやり方が分からないまま止まってしまうこと。
見られたくないのに見られる状況。
納得していないのに進められる流れ。
掴みたいのに、うまく残せないもの。
そして繰り返し現れる、トイレとエレベーター。
夢の中の私は、それを初めての出来事としてではなく、
「またこれか」と、どこかで理解している。
同じ場所に、何度も戻ってきている。
あの入れないほど小さなエレベーターはきっと、
「次の場所に行くための準備が、まだ足りていない自分」そのものだ。
行きたい場所は、もう見えている。
むしろ、すぐそこにある。
ただ、その場所に入るための形が、
まだ少しだけ、合っていない。
※2026年3月22日 note記事より
0コメント