明日の本番に向けて(2026.4.28)
今日の朝練は、明日のイベントステージに向けてのドレスリハーサルだった。
曲は、ダリナのモダンオリエンタル。
報われない愛に苦しみ、
自分の価値観に心が揺らぎ、
それでも愛することをやめない、強い女性のストーリーだ。
この曲は、2025年のダリナのオンラインコースで学んだものであり、
先日日本で開催されたオンラインワークショップでもレクチャーされたものだ。
去年、私はこの曲を、たった1ヶ月の練習期間でハフラに出すという無茶をした。
とにかく一度踊ってみたかったのだ。
けれど、その時はまったく納得のいくパフォーマンスにはならなかった。
その後、様々なイベントの演目に追われ、
この曲を踊ることはなくなっていった。
けれど、コンペが終わった後、
私はもう一度この曲に向き合うことを決めた。
一度手に取り、そして手放した曲。
それは「終わった」のではなく、
ただ「今ではなかった」だけなのだと思う。
コンペを経て、自分の現在地を知り、
足りないもの、向き合うべきものが見えてきた今、
この曲をもう一度踊る意味が、ようやく自分の中で繋がった。
そして、練習を始めて38日目の明日。
私は新たな気持ちで、この曲を本番のステージで踊る。
この1ヶ月、自分の基礎を見直し、踊り方を見直し、
時には土台から壊すような作業を続けてきた。
もちろん、そんな短期間で長年の癖を根本から組み直すことはできない。
それでも、少しずつ、少しずつ、
自分の踊りに変化が現れてきているのを感じている。
例えば、これまでずっと決まらず、
どこか曖昧なまま踊っていた、ドラマチックな振り付けの中のある動き。
今日、その動きを自分なりに解析し、
ようやく「形」として整えることができた。
それは小さなことかもしれない。
けれど、自分の中では確かな一歩だった。
エストニアでの個人レッスンで得た、あの感覚。
そして指摘された、たった一つのエラー。
それは部分的な問題ではなく、
私の踊り全体を表面的にし、
堅くし、こわばらせ、流れを止めてしまっていた原因だったのだと思う。
明日は、その組み替えからの、最初の実験の日だ。
衣装を着て踊る。
重さのある衣装は、ターンの回数を制限し、
スカートの遠心力は軸を外へと引っ張り、回転の速度を鈍らせる。
けれど、それでいい。
ステージも広くはない。
だからこそ、その条件の中でどう成立させるかが大切になる。
最近、強く思うようになった。
本番の踊りは、
練習のようにフルパワーで出し切るものではないのだと。
出力は、60%でいい。
全力で踊ろうとすればするほど、
動きは固くなり、気負いが生まれ、余裕が消える。
けれど、あえて出力を落とすことで、そこに余白が生まれる。
その余白は、余韻となり、空気となり、
見ている人の呼吸をほどいていく。
そして、100%のパフォーマンスを目指すことはしない。
練習でうまくいった時の感覚を再現しようとしても、
それは多くの場合、ただの気負いに終わってしまう。
ステージの形状や広さ、床の素材、衣装。
すべての条件が違う以上、同じパフォーマンスは再現できない。
だから私は、
一番良かった時の70%から80%を、確実に出すことを目指す。
それは妥協ではなく、
変化する条件の中で踊りを成立させるための選択だ。
明日は野外の仮設ステージ。
床も、広さも、
いつものスタジオとはまったく違う。
だからこそ、その違いを制限ではなく条件として受け取り、
その広さを活かし、
その床の特性を活かしながら、
いかに余力を持って、
いかにお客様に伝えられるかに集中したいと思う。
私は、去年あたりから、
ステージの回数を意識的に減らすようにした。
あちこちに出続けていると、
一つ一つの踊りに向き合う時間が足りなくなり、
練習が浅くなり、どこか雑なパフォーマンスになってしまうことに気づいたからだ。
だから私は、数ではなく、深さを選んだ。
一つの踊りにじっくり向き合い、
トライアンドエラーを繰り返しながら、
少しずつ完成度を高めていく。
そうした時間を大切にしている。
ステージは、主にお世話になった方への恩返しとして選んでいる。
まだ仕事として踊り始めたばかりの頃、
今よりもずっと拙かった時代から支えてくださった方、
声をかけてくださった方。
その方々のイベントには、必ず出演する。
ご縁と、感謝。
ただ、それに尽きる。
だから、そのステージがどんなに小さくても、
たとえ踊りにくい場所であっても、
できる限りの準備を重ね、
一つ一つの動きを丁寧に、
大切に踊ることを心がけている。
引き受けたステージには、手を抜かない。
できる限りの努力をして臨む。
そして、ただ楽しいから、踊りたいからという理由だけではなく、
その場に対してきちんと務められるか、
自分がどこまで努力できるかを基準にしている。
明日のステージ。
私はまだ、この曲と向き合って38日しか経っていない。
十分な練習期間とは、とても言えない。
それでも、
エストニアで学んだこと、感じたこと。
自分の中に起きた変化。
それらを、毎日少しずつ積み上げてきた。
そのすべてを、この踊りに込めたい。
明日の朝練が、最後のリハーサルになる。
そして明日は、
今日よりも、
ほんの1ミリだけでも前へ。
その1ミリを、確かに進める。
note記事 2026年4月28日より
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