人生初のイギリスぼっち旅〜其のニ【土偶、イギリスで舞う①】
日本とイギリスは同じ島国で、KingやEmperorが君臨する歴史と伝統を重んじる国だ。似ているようだが、大きく違った部分がある。
肌で感じたのは、鎖国していた国の箱庭メンタルと、大航海時代を制したグローバルメンタルの違いだ。あくまでもわたしの個人的な印象なのだが。
イギリスの人たちの印象は、予想していたよりもおおらかで明るく、熱い。上品でさりげない優しさを感じた。
イギリス3日目、1月17日。
その日は朝から何となくソワソワと緊張し、午前中予定にしていたHolland Park行きをキャンセルし、部屋で過ごした。出かけるのは夕方なのに、昼過ぎにはステージに備え髪を整えメイクを終わらせた。このソワソワは練習を3日していないせいだ。どうにもこうにも落ち着かないので、部屋の中で少しだけ踊って感覚を確かめる。と言っても、狭過ぎてほぼ何も出来ない状態なのだが。
↑完全アウェーでのパフォーマンスポスター
16時過ぎ。地下鉄とバスを乗り継ぎ、会場に入っる。すぐ側にいた方に挨拶した。偶然にもわたしの前に踊る予定のゴシックダンサーの方だった。Swedenの方だ。勘違いして勝手にアイルランドの方だと思い込んでいて、あのUFCのクレイジーな最強格闘家・コナー・マクレガーの国かぁ、などど思う程にわたしは格闘技オタだ。しかしどうして、平和の象徴のような癒しキャラ・ムーミンの国の方だった。ムーミン展には3度行き、ムーミン作者のトーベ・ヤンソンの画集も持ってるわたしは多少のムーミンオタでもあるかもしれない。
日本と海外の違いで感じたのは、【集団行動ベースでなく、自分の事は自分で考えて自己責任で個々で行動する】がベースになっている所だ。細かいタイムスケジュールや説明は一切無い。出演者に現場で確認事項の伝達もなければ、会場の説明も無い。送られて来たメール(場所、スタート時間、踊る順番)を頼りに、あとは自分で状況を見て判断し、漏れなく動くのみ。ベースになっているのは集団主義ではなく個人主義という所だろうか。自己責任で行動する事が基本である。
が、そんな状況に慣れっこ(だと思う)強者の皆様も時々よく分からない事もあるようで、そんな時はお互い目を合わせて肩をすくめて力無く笑う。わたしも何度かそのお仲間に入れてもらった。更衣室が分からずに数人でトイレで着替えていたら、『あっちで着替えられるで』と言われ慌てて移動したり、いつの間にかイベントがスタートしてて、スタートしていた事を知らなかった出演者達と『始まったんやろか』と言い合い笑ったり。
色々な人種の中で、完全アウェーで、珍獣枠の着物とファンベールポイを持ったわたしに、時々ニコニコしながら『Japanイカしてるね』的な声を掛けられたり、『キモノ、ええな』的な事を言われたり、『Oh, You’re Japanese style! みずほ銀行の国やな』などなど、時々ユーモアを交えながら、ストレンジャーにも分け隔てなく普通に接してくれる懐の深さがある。イギリスは島国だが、沢山の人種が入り混じり生活している分、日本人よりも外国人に対する接し方に長けている。
鎖国の国の鎖国メンタル。
外国人に対し変に緊張するのは悪い癖だ。とはいえ、彫りが深く、ベリーダンスに適したメリハリ体型の美女群に囲まれていると自分の土偶のような平たい顔と薄っぺらい体型が気にならないと言うと嘘になる。
どこに行っても何をしても【自分は自分】、それ以上にもそれ以下にもなれないと分かっている。持ち味を出すしか無いし、お客様を楽しませるようエネルギーを放出するしか無い。腹を括ろう。ファンベールポイを握る手にきゅっとチカラが入って、大きく深呼吸した。大丈夫。それ程緊張は無い。ただソワソワするだけだ。
会場はかなり踊りにくいレイアウト。出の予定の上手側にPAが居て、立ち位置が無い。よって走り出す角度が深くなってしまい、奥行きも無い。最初のジャンプは多分失速して跳べないだろう。床も滑る。出力を少し落として、コンパクトに跳ぶしかない。ぶっつけ本番である。
司会のナイスバディな超ミニワンピースのセクシー美女に紹介され、ダリナがわたしに気付き満面の笑顔で手を振ってくれた。嬉しくて手を振りかえす。2年ぶりのリアルな再会がまさかイギリスで叶うとは。運命とは不思議なものだ。会場の観客の目線が着物を着た土偶に集まる。三味線の前奏が鳴り始め、最初の一歩を踏み出すべく左足に力を込める。
イギリスの地で、今、春興鏡獅子がスタートする。
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