103歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い
篠田桃紅【103歳になってわかったこと 人生は一人でも面白い】読了。
生涯現役を貫いた孤高の美術家で、2021年3月に107歳で逝去された篠田桃紅さんのエッセイ。わたしの最も憧れる美術家で、先日展示会で購入した篠田桃紅さんの著書3冊のうちの1冊がこれだった。
篠田桃紅さんを最初に知ったのは、偶然観たNHKの特番だった。普段TVを殆ど観ないので、運命的だったと思う。当時確か106歳?でいらっしゃった桃紅さんがインタビューに答えたり、アトリエで作品を描く様子などが特集されていて、目が釘付けになった。作品の素晴らしさに心惹かれたのは勿論だが、彼女の凛とした佇まい、嫋やかな仕草、口にする美しい日本語、ゆるりと粋に着流す着物姿、風に漂う浮き雲のように自由で何ものにも縛られない生き方…全てに心鷲掴みにされ、魅了されたのだ。『なんて美しい方だろう』『こんな素敵な方がいらっしゃったのか』…とても衝撃を受けた事を覚えている。
さらりと読みやすい文章に、桃紅さんの日常やものの感じ方考え方などが淡々と綴ってある。『あぁ、わたしもこうありたい』『そうか、そんなふうに思うと楽なんだな』など、大正・昭和・平成・令和の世を生き抜いた人生の大先輩のことばが沁みる。道標になる。
憧れと気軽に口にするのはとてつもなく失礼な気がして気が引けてしまう部分もあるが、他に適した言葉が思い浮かばないので使わせていただいた。この本は折々に読み返して、自分の日常の道標にしたいと思う。
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