8月の未練 31082025

8月が終わる。今年は5月以降の時間が急加速しているように感じる。

肌寒い早春から、さくらを追いかけ、ばらを追いかけ、一気に酷暑がやってきた。観たかったあじさいは梅雨の慈雨を堪能する前に日差しに焼かれて色褪せて、ひまわり畑は見に行くと既に刈られて更地になってしまっていたし、ペルセウス座流星群も見ていないし、海に行って花火をする願いも、ビアガーデンに行く願いも叶わないまま、明日から9月だ。唯一の夏の思い出は東京で西瓜を食べた事と博物館に行った事くらいだろうか。気付けば朝練をやりつつ喘息に苦しめられている間に8月は足早に駆け抜けていってしまった。

今日は夕暮れ時の湿度のあるむっとした空気の中で秋の虫達の声を聞きながら、オレンジ色を端に残しつつ暗鼠色に沈む空に浮かぶ朧月をぼんやりと眺めた。

そして、先程読み終えた篠田桃紅さんの著書にあった『おしめり』という言葉を思い出した。今日の夕方のむっとした空気は、ちょっと前に雨が降ったせいだったらしいのだが、

『おしめり』とは、雨の事を指し、日本独特の情緒と表現の仕方なのだ。英語には同じ言い回しが無いそうだ。昔の日本人が持つ豊かな感性、言葉の美しさ、懐かしさを感じさせてくれる。

雨ひとつをとっても沢山の表現がある。なんと400語を超える『雨』の表現が日本語にはあるそうだ。雨の表情の微細な違いを感じ取り言葉にする日本語の多様性に驚かされる。

本を読む事は、著者の豊かな経験や記憶をこうしてお裾分けいただき、追体験出来る面白さがある。今まで気付かなかったことに気付いたり、考えさせられたり、感動したり、新たな発見があったり、自分の狭い空に一筋の光がスッと射すような感覚を得ることができる。

8月の終わりの夕方の、ちょっと良いひとときだった。

明日から始まる9月。8月のやり残しにリベンジしつつ、日々ゆるりと様々なチャレンジを楽しんでいきたい。

Bellydance Najm Fukuoka

ベリーダンス ナジュム福岡 -福岡のベリーダンス教室-

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